深夜高速

だめだめな日
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「深夜高速」by フラワーカンパニーズ

生きててよかった
生きててよかった

生きててよかった
そんな夜を探してる

生きててよかった
生きててよかった

生きててよかった

そんな夜はどこだ

フラワーカンパニーズ「深夜高速」




“普通”のハードルが
高すぎる



ヘッドライトの光は手前しか照らさない

当たり前のことではありますが。

ヘッドライトの光は、手前しか照らしません。

他の場所は、真っ暗。

ただ、それは闇の場合だけ。


反対に。

昼下りの、明るくて暖かいときは、周りを容易に見通すことができる。

けれど。

イヤなところまで、見えてしまう。

しかし、周りは暖かく、眩しいくらい、明るい。

そんなことに、気づきもしない。

実際に気づくのは。

辺りが寝静まり、暗くなったころ。




今、生きていることを俯瞰することは難しい。それができたら苦労はしない。

真っ暗闇の中で、私たちは。

目の前だけ照らされた灯りに縋り。

まっすぐ伸びる道路を走っていくしかない。

年をとったらとるだけ 透き通る場所はどこ

若さはいつも素っ裸。

そう、今でも。

私が、社会から隔絶。いえ、自ら関わりを絶ってから。

むしろ、関わりを絶つことを強いられてから。

四季折々の出来事、同世代の常識、車を買ったや結婚した、同棲しただのなんだの。

そう言ったことと、無縁になりました。

縁がないのです。



私は、当時。

CMが嫌いでした。

あたりまえのように、幸せな家族が映り。

「新発売!」
と訳のわからない商品が売られたり。

どこかでイベントがあるだの、なんだの。

そんなもの、縁がないんですよ。

レールもクソもへったくれもない。






情けないですが。

悔しいですよ。

ずっと、立ち止まっているんですから。

あの頃から、動けていないものですから。

むしろ、戻っている。




こうじゃなかったら、あんな未来が描けていたんじゃないか、って。

あんなこともできたんじゃないか、と。

昔、描いていた、未来。

私。

歳をとって、何が変わっただろうか。

身体が少し大きくなっただけ。

プロ野球選手。

多くが、年下の選手が活躍している。

甲子園。

ひとまわり下の世代の勇敢な選手たちが汗水を流している。

芸能人。

中学生や高校生までもが活躍している。



私。

立ち止まっている。



仕方ない。

と、思うしかない。

ヘッドライトの光は、手前しか照らさないから。

生きててよかった そんな夜はどこだ

普通のハードル、というものがあまりにも高くなっている。

結婚、就職、安定、将来、健康、しあわせ。

ごめんなさい。

私、なにひとつ、手にしていません。




どこぞの本を読んでも。テレビを見ても。歌を聴いても。

どんなものも。

最後には、ハッピーエンド。



あの苦しさがあったから
今はしあわせ



こんなものばかり。

社会が、こんなものしか受容できなくなっている。

社会が、“気持ちよさ”しか求めていない。

社会が、“綺麗ごと”しか望んでいない。

きもちわるい。

すべて、なにもかも。

“よかった”という経験に
しなくてはいけない

いいわけねえだろ。

癌になって、鬱で無職になって、良かったと思うことなんてあるわけねえだろ。

形容するのであれば。

自分が成し遂げられたなかったことを
他人の成功体験で擬似体験したがる社会


他人の失敗をおかずに
安全圏にいる自己を
満足させたがる社会



外野から、動物園の檻のように
他人が命を懸けた物語を味見し
悦に浸っている社会



自分が一番傷つかない位置から
他人の不幸と幸せの境界を味わい
マスターベーションするような社会



すばらしい社会ですね。

じゃあてめえが代わってくれよ。

差別なんてなくならないですよ。

可哀想、という感情が存在する限り、公平な、平等な社会なんてやってこないですよ。

てめえが体験しろや。


どうにも、この社会は。

健康優良児どもが、“かわいそう”な人の、“悲劇”のストーリーを我が物顔で見下ろしているような。

その物語が、爽快なエンドを迎えるものでなければ、受け入れられないような。

被害者には、人権はないのでしょうか。

加害者の、都合の良いようにならなくてはいけないのでしょうか。

あなたの気持ちよさの歯車にならないといけないのでしょうか。



てめえもこっち来いや。



どん詰まりで、行き場のない人間だっている。

死ぬことさえ選べない。

ただ、生きている。

生きていて、よかったと思える夜を探している。

そんな人がごろごろといる。

子どもたちだって。





この世の中。

失敗が許されない。

許す、という行為に抵抗を持つ人が多すぎる。

何が、人生100年時代なんでしょうか。

何したっていいじゃないでしょうか。

どんな事情を抱えていたっていいじゃないでしょうか。

どうして、普通でなくてはならないのでしょうか。

結婚も、就職も、安定も、将来も、健康も、しあわせも。

その普通の定義がわからない。




私は、どこから来て、どこへ行くのだろう。

あなたは、どこへ向かいますか。

まだ、私は足掻いています。

そんな夜を探しているのだから。

誰にも知られず、理解されなくても良い。

生きていてよかった、そんな夜を探してる。

探している。

まだ、死ねません。

「深夜高速 Live」by フラワーカンパニーズ
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